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絵本"Fortunately"(Remy Charlip)の楽天性:

帰国子女の私にとって、(南アフリカ、台湾、アメリカと人生の約1/4が海外生活)絵本を、日本語と英語で表現するバイリンガル・スタイルは自然なこと。
バイリンガル形式にこだわっている理由は、他にもあります。
それは、ある種の私なりの思い入れ。教科書のように併記の訳や、直訳したものとは違う方向性を 自分らしいカタチで見つめたい という思い。
それぞれの言語が 掛け算のように広がりを放つような、言葉の魔法に触れたいなって思う。
まだ、この新しい試みは、第一弾の「ぎゅっといのち」で始まったばかりだが、2冊目、3冊目と重ねながら じっくり ゆっくり 探究していきたい。
絵本を読んでくれる人が、いつのまにか 2つの言語の掛け合いに 音楽のようなメロデイーを感じたなら どんなに楽しいだろう。
英語が学問や教育を越え、感性でもそのエッセンスを感じられたら どんなに楽しいだろう。
”日本語のぬくもりのある穏やかな響きX英語の韻を踏んだリズミカルな調べ”に 自由に心を遊ばすことができたら どんなに楽しいだろう。
思いばかりが 風船のように膨らんでいるが、いつの日か それが、絵本の中にさりげなく 自然に溶け込んだなら その時はじめて 風船は 空を飛ぶのだろう。


さて、今日は、気になるバイリンガル・スタイルの絵本の紹介です。
影絵のような切り絵スタイルが人気のRemy Charlipの"Fortunately"。
やぎた よしこ訳で、「よかったね ネッドくん」という邦題と共に、バイリンガル絵本にもなっている。
Forutunately(運のいい)日には、カラフルな色でページが塗られ、そのすぐ後に、
Unfortunately(運の悪い)日がやってきて、ページは 暗雲のモノトーンに蔭りをみせる。
順番にネッドくんの身にオセロのように降りかかる ”ラッキーなこと” と ”アンラッキーなこと”。
人生は、一喜一憂、いいことも嫌なことも織り交ぜて おこる。いいことだらけでも、いやなことだらけでもない。
いやなことがあっても、いいことがあれば 心は軽くなるし、良いこと続きで感謝もせず うかれていればつまずいてしまう。
絵本\"Fortunately\"(Remy Charlip)の楽天性:_e0075252_18143688.jpg

相反するフォースは、それこそパン生地を練るように人を鍛える。 
ここで、ネッドくんにおこった1日の1コマを覗いてみよう。

"よかった!ネッドくん およぎが うまくって。
Fortunately he could swim.
でも、たいへん!きしに あがると トラがいた。
Unfortunately there were tigers on the land.
よかった!ネッドくん かけっこ はやくって。
Fortunately he could run.  "
「よかったね ネッドくん」 "Forutunately" by レミー・シャーリップ

軽快なリズムと明るい原色、特にSKY BLUEが目に眩しい!
楽天的なオーラに満ちた絵本である。

by inner-vision916 | 2005-09-28 18:13 | 絵本と小説